資料2
世界の軍事費

 

国際市民裁判所一号法廷

 <第三回> 

 

本日は国際市民裁判所一号法廷の第三回を開廷致します。

 

今回は安倍証人の弁護人及び検察官の口頭弁論を行います。弁護側の弁論の後、検察側からの口頭弁論を行います。

 

 陪審員諸氏は双方の意見をよく吟味された上で、ご自身の正当で公平な判断に繋げて戴きたいと思います。

 

                   20144月21日     裁判長  マハトマ・ガンジー

 

 <安倍晋三弁護人陳述>

 

 ガンジー裁判長、本日は貴重なお時間を頂戴しありがとうございます。

 

それでは2013124日(第185国会)にて承認された「特定秘密保護法」に対する弁護側陳述を始めさせて頂きます。

 

 本法律の基礎となる国家安全保障基本法の第一条(目的)では「我が国の安全保障に関し、その政策の基本となる事項を定め、国及び地方公共団体の責務と施策とを明らかにすることにより、安全保障政策を総合的に推進し、もって我が国の独立と平和を守り、国の安全を保ち、国際社会の平和と安定を図ることをその目的とする。」とあります。

 

 これを受けて「特定秘密保護法」の第一条(目的)では次のように明示されています。すなわち

 

 「この法律は、国際情勢の複雑化に伴い我が国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。」ということです。

 

  国際情勢は今日様々な問題を含有しながら、日々その力関係を誇示し、複雑な諸問題をもたらし、日本においても看過できない事項が荒波のごとく押し寄せてきています。政治家の本分はこのような現実的な国際間の諸問題に対し、適切にかつ敏速に対応し、日本国民の生命及び財産を全身全霊を以って守る事を大前提として求められています。

 

従来「◆職務上知ることのできた秘密(国家公務員法等)◆防衛秘密(自衛隊法)◆特別防衛秘密(MDA法)◆合衆国軍隊の機密(刑事特別法)」等の法律によって保全されてきた日本の秘密情報保護体制は余りにも多岐に亘り、指示系統すら整理統合できてはいませんでした。

 

国家にもたらされる情報とは常に喫緊の課題が内包され、それが無作為に漏洩される可能性は絶対に排除して置かなければなりません。すべてを統合する内閣総理大臣のもとで、あらかじめ情報を管理し秘匿する権限を各務大臣に委譲しておくことは欠くことができない要件であります。「特定秘密保護法」の最大の目的はここにあります。又、緊急性を持たない情報であっても、将来にわたり国民に甚大な影響をもたらす可能性が危惧されると思われる情報に関しても、一定期間それを特秘として認定し秘匿されねばなりません。

 

 日本は今、安倍首相が度々明言されている「積極的平和外交」を国是として推進し、世界を平和に導くための努力を日々積み重ねております。この世界平和の実現のために友好各国と情報を共有することは、同時に求められる情報保全が前提かつ必要条件でもあります。このような世界情勢を鑑みた上で、緊急課題として「特定秘密保護法案」を上程し、第185国会にて成案のご認証を受けさせていただいたものです。

 

<ガンジー裁判長>

 

 弁護人に申し上げます。ご貴殿はまだこの法廷の意義をよく理解されていないようです。

 

当法廷は、単に一国の法律に対しての当該政府の行動に対する正否判定を下す為のものではありません。世界共通の国際正義に対して、一国の執られた基本法が合致しているかどうかを審議する法廷であることを忘れないで下さい。今言われたことはすべて日本国内において喧しいほどにあちこちで政府側の答弁として言われて来たことであることは、私たち裁判官もすでに熟知しております。

 

 私共が求めるのは「国際正義」に基づいた人類共有の価値観から、提訴された案件に対して審議するものです。本件の焦点は何処にあるかを正しく認識してご答弁下さる様お願い致します。

 

  問題の所在を明らかにするために検察官側からの質問をまずお受けすることとします。弁護人は検察官からの質問に対して、誠実なご回答をされるようお願い致します。

 

 <検察官>

 

 ガンジー裁判長、ありがとうございます。私も弁護人の陳述に対しては同じ感想を持った次第です。

 

そこでまず弁護人にお尋ね致します。世界が共有すべき「国際正義」とはどのようなものであるかを弁護人は認識されておられるでしょうか。当法廷における国際正義の中では、「現在の日本政府が軍事力を持つことが正義であり、国際社会の中で必然的な選択肢であると考えているところに最大の問題がある」と見做しています。

 

 人類は有史以来(少なくとも史実として記録の残る過去5000年の間)、人間同士の戦い、すなわち戦争のなかった時代はありませんでした。そして現代社会において、第二次世界大戦後、「人類はもう二度と戦争は起こさないという意思」を全世界で共通認識として形成してきました。その戦争の根底にあるのは、同じ人間同士による支配と被支配(奴隷化)、軍事力増強による自国領土の拡大(経済的利益の拡大・帝国主義)、イデオロギーの対立(資本主義と共産主義)、宗教的拡大(一つの宗教だけを正義とする戦い)、軍事力増強(核兵器や化学兵器)による覇権主義(脅しの政治)、等です。

 

 21世紀の今日、我々人類は、人類そのものを破滅の道へと導き、我々の存在のすべてがかかっている地球をも破壊し尽くす核兵器を、すでにこの地上に存在させてしまいました。この事について安倍証人の弁護人はどのような見解をお持ちでしょうか。安倍証人との会談の席で解釈された事やご自身の見解なども含めてお答え戴いても結構ですので、当法廷にてその見解を述べて下さい。

 

 <安倍証人弁護士>

 

 お答えします。当法廷において私が安倍証人の代理人としてお答えすべき回答は現在持ち合わせておりません。法廷において弁護士の個人的見解を述べるという概念も持ち合わせてはおりませんので、検察官に対するお答えは当該する「特定秘密保護法」に限定してご質問くださる様お願い致します。

 

 <ガンジー裁判長>

 

 弁護人の言われた事は、私も同じ法曹界にいた人間としてはよく理解できます。しかしこの法廷に出廷されて来られた以上、今のような弁解は通用しません。弁護人のこれまでの人生全体を通じて学んで来られたすべての倫理や価値観をも合わせてお答えいただかない限り、この法廷では何も通用しないとご理解下さい。この事はすでに当法廷に立たれる前提条件として書面にてご通知してある筈です。証人との打ち合わせもすでに済まされていると思います。その約束に準拠して忌憚ないご回答をして下さい。

 

 <安倍証人弁護人>

 

 私の見解がすべてこの法廷において重要視されることは事前の書面にて存じておりますが、なにも根拠のない、あるいは証拠のない言質であります。その事を踏まえて戴いた上で、私の見解を述べさせて頂きます。

 

まず第一に人類の歴史についてですが、私も「人類の歴史は戦争の歴史であった」という事については同意見であります。しかしながら今日の世界情勢の中で、すべての事柄を現実問題として捉えて我々は生きて行かなければなりません。第二次世界大戦後、世界は冷戦構造の中で、それぞれの国にあった政治的、経済的、そして軍事的戦略に則った国是を創出して行かなければなりませんでした。日本は敗戦国としての立場から戦後復興をしなければなりませんでした。そして復興の決め手となったのは、最優先事項としての「経済的繁栄政策」でした。高度経済成長期においては、日本国民は老いも若きも一丸となって働きました。それらを指導してきたのは日本の自由民主党を中心とした時の政府です。1964年の東京オリンピックとそれに続く万博は復興日本の象徴的出来事でした。そして自衛隊を合法としたこともです。この時代を先導した自由民主党は決して間違ってはいなかったと私は考えています。まさに今日の日本の繁栄の基礎を築いたと言えます。私は当時は法律を学ぶ学生でしたが、この時代の日本人はアメリカのあらゆる文化に触れ、すべてに憧れと称賛をもって接していたと思います。そしてアメリカナイズされた情報でも、自然と正しい事だとして受け入れる土壌が培われて行ったのだと思います。そこに正義しかなかったとは断言は出来ませんが、日本国民が感覚的に正しいと受け入れていった事は当然の結末のように感じています。今回の特定秘密保護法においてもアメリカのNSCをモデルとした国家安全保障会議を基礎として、情報を国家の管理下に置くものであり、今日の国際的な状況下では必然的に必要とされる法律であると確信致しております。

 

 <ガンジー裁判長>

 

 では、検察官、何かご意見がおありでしたらお伺い致しましょう。

 

 <検察官>

 

 裁判長ありがとうございます。

 

弁護人は過去の人類の戦争の歴史に関しては同じ見解だとお聞きしまずは安堵致しております。ただ、私がご質問致しました国際正義に関する弁護人からの回答はありませんでしたので、再度資料等を提示して質問の内容を補足させて頂きたいと思います。

 

 資料2にて提示しましたのは、国家の軍事費として集計されたものの内の上位20ヶ国を表したものです。

 

軍事費に含まれるものは資料2に書かれています。

 

-資料2-

 

 【ストックホルム国際平和研究所】編・<軍事費に含まれるもの>

The armed forces, including peace keeping forces:平和維持軍を含む軍隊

 

Defence ministries and other government agencies engaged in defence projects

 

:国防省と他の政府機関が携わる防衛プロジェクト

 

Paramilitary forces when judged to be trained,equipped and available for military operations

 

             :軍事作戦のために訓練・装備され、即応可能であると判断された時の予備軍

 

Military space activities:宇宙における軍事活動

 

Personnel(人員) ・all expenditures on current personnel, military and civil

 

               :軍人・市民を含む現在の人員のための全ての消費

 

    ・Retirement pensions of military personnel:軍人の退役年金

 

    ・Social services for personnel and their families:人員とその家族のための社会的サービス

 

Operations and maintenance :運用とメンテナンス

 

Procurement           :装備品の調達

 

Military research and development:軍事研究開発

 

Military construction      :軍事施設の建設

 

Military aidin the military expenditures of the donor country):軍事援助(援助国への軍事支出)

 

  <資料2>

 

 

 

 (注)すでに一部発表されている2013年度では軍事費総額は174兆円です。

 

 1位アメリカ:64兆円、2位中国:18.8兆円、3位ロシア:8.7兆円、4位サウジアラビア:6.7兆円

 

 5位フランス:6.1兆円、6位イギリス:5.7兆円、7位ドイツ:4.8兆円、8位日本4.8兆円、となっています。 

 

<検察官>

 

 私が何故このような資料をご提示したかは、ご説明するまでもなくお分かりいただけると思います。

 

世界が平和になる為の大前提は戦争をなくすという一語に尽きます。それ以外には何もありません。

 

全く簡単な言葉一語に尽きているのです。ところがどうでしょうか。この狭い地球の上で、こんなにも多くの無駄な経費が湯水の如く費やされているのです。全く無駄な意味のないお金です。戦争を前提としただけの予算です。

 

 アフリカ連合諸国が、アフリカから飢餓を無くすために必要な予算として、世界に発信した予算は約100兆円でした。第一回の法廷で提示しました OECD開発援助委員会(DAC)の援助実績と見比べて下さい。

 

如何に先進諸国が無駄な経費を使っているかがよく判ると思います。

 

 *日本についてご覧下さい。日本人一人当りがODAとして、恵まれない国々や人々へ行っている支援は年間僅か8300円(月額700円)です。アフリカにおける飢餓は一向になくなりません。のみならず更に医療危機などは増大するばかりです。それに比べて憲法でも否定されている軍事費として、我々日本国民は一人当り年間4万円近くを負担しているのです。

 

 今日の弁護人が言われた通り世界の先進国と思われている国々は、自国や同盟国の防衛のためには軍事は絶対的に必要であり、欠く事の出来ない事象だと今日まで理解されてきています。

 

しかしここに居られるマハトマ・ガンジー裁判長は生涯を非暴力の実現のために捧げて来られました。

 

 自国を守るという行為は軍備からは何も実現されません。日本には「無手勝流」という武士道の極意がありました。武器を持たずに危機を回避する極意です。それは勇気を持って相手の懐(ふところ)に飛び込むということです。政治に必要とされるのは、困難な状況に対応するために勇気を持って相手の中へ飛び込み、心を開き、日常的に人間としての友好な関係を築き上げる為に対話をする事です。相互理解を深めることです。

 

 そして相手の身になって考え、必要とあらば出来る限りの援助をすることです。「情けは人の為ならず」という言葉も日本にはあります。援助はやがて何らかの形で日本に跳ね返って来るのです。

 

私事で恐縮ですが、アフガニスタンへ赴いたおり、タリバーンやアルカイダの人々と対話する機会が何度もありました。彼等の根幹にあるのは宗教的な対立思想ではなく、生きて行く術がないということがよく判りました。人間は人の子です。落ち着いた暮しと家族団らんがあれば、危険な思想に毒される必要はまるでないのです。今日の弁護人を始め多くの政治家達はこうおっしゃるでしょう。

 

「それは理想論であり、現実はもっと違ったものだ」と。理想論と現実政治は相容れないものだと。

 

しかしそれは大いなる言い訳であり、理想と現実を同化させることを考えられない人々の、思考の欠如でしかありません。整然と論理と倫理を確かめて行けば、確実に理解出来得る事柄なのです。即座に実行出来る事柄なのです。戦争を既定の事実として、仮想敵国を創り上げる「特定秘密保護法」等と言うのは、それこそ非現実的な、時代の流れに掉さすだけの愚法であると言わなければなりません。

 

 <ガンジー裁判長>

 

 検察官ありがとうございました。

 

本日の法廷は時間がまいりましたのでこれで終了とさせて戴きます。弁護人は次回が最終弁論となりますので、よく御検討下さる様お願い致します。次回は4月30日に開廷予定と致します。   

                       2014年4月21日 

 

新時代の幕開け

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虎穴に入らずんば、虎子を得ず」と後漢書にある。相手の懐に飛び込んで、自ずから活路を見出し、互いの融和を招く。この事をもたらすには、優れた知能と未来への戦略と共に、最も必要なのが腰の据(す)わった勇者である。残念ながら今の日本の政治家の中には、これに値する者は誰もいない。寄り集まって仲間と騒ぎ立て、遠吠えするだけの輩(やから)。安倍・石破・高村の愚者集団に吸引され、与野党のすべてが同じ土俵の中で騒ぎたてるだけ。見苦しさはこの上ない。まるで子供のケンカと同じていたらく。誰が中国や韓国、北朝鮮へ直接乗り込んで虎子を得ようとしただろうか?中国の指導者達も南北朝鮮の人々も後漢書の言葉は熟知している筈。中国共産党とは真の人間の心に根ざしたものではなく、まして北朝鮮の独裁は許されるものではない。国を支配するものが誰であれ、どんなイデオロギーであれ、そこに住む人々はすべて同じ価値観を持った市民。日本人を含め、極東の国々は、本来は論語や儒教を心の支えとして社会的理念を育んできた国でもある。集団的自衛権は彼らの心をより頑(かたく)なにさせるだけ。私の父や叔父達は靖国で眠っているが、安倍のような輩(やから)に決して来ては欲しくはないだろう。大戦で亡くなった人たちが最も望んでいることは、「仲良くする事、それが我々の失われた命への最大の献花だ」と。

  6/13/2014  曽根悟朗

 

最近は安倍も石破も、はたまた高村副総裁まで、「何とか公明党に理解してもらいたい」とばかり、必死の形相である。公明党さえ理解をすれば後はこっちもの、国民等どうでもいい、といったていたらく。馬鹿につけるクスリはないというが、まさにそのとおりの有様だ。国民への配慮などは微塵もない。忘れちゃあ困るよ安倍のダンナ、石破の岡持ち、高村の太鼓持ち。集団的自衛権を最終的に判断するのは国民だよ。君たちの勝手はもう許さない。選ばれた政治家に何でも決定する権利があるというのはもっての外。火事場の空き巣狙いじゃあるまいし。YESかNOかは国民投票で決めさせてもらいますよ、安倍のダンナ。“首を洗っておとといきやがれ”とは江戸っ子の心意気。“覚悟あそばせ”と冷笑を浴びせるのは神楽坂の大姐御。!!    

   06/01/2014 曽根悟朗 
 
 石破の「集団的自衛権は抑止力」という愚劣な政治感覚に踊らされる日本。ロシア・中国・イラン、それに付随した北朝鮮、シリア等の結束を硬化させ、世界の緊張は更に高まるだけです。軍事行動を憲法において否定されている日本だけが、上海宣言参加国と欧米各国を、対話と協調への場へと導くことが出来る唯一の国なのです。拒否権がある故に国際協調への行動能力を失っている国連。憲法9条による軍事行動の全否定と、集団的自衛権を持たない日本だけが、この役割を果たすことが出来ます。安倍、石破の知能の低さと想像力の欠如が今日本を誤った道へと導こうとしています。ウクライナやシリアに於ける解決不能と思われる諸問題に対し、対話の道を構築し、新たな世界秩序へと門戸を開き得るのも、公平な理念に基づいた仲裁裁定を積極的に行う事が出来るのも、現状では日本だけなのです。「目を覚ませ・地を這うことしか知らない政治家諸君!!      05/25/2014  曽根悟朗