中東情勢


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今回のオバマ大統領の中東訪問は我々に多くの期待を抱かせるものでした。まずイスラエルのネタニヤフ首相との会談に於いては、思考する方向性の違いを明確にし、汎シオニズムに傾倒するネタニヤフ氏の考えを改める事を求め、同時にパレスティナを独立した国家としても認めるよう示唆した事も報道される通りです。又、2011年のトルコのガザ地区への支援物資を運んでいた船を攻撃し9人の死者を出して以来不仲となっているトルコとの和解を図るために、ネタニヤフ首相にトルコ首相エルドガン氏に電話を入れさせ、謝罪の場を作り、関係を正常化させた事も見逃せない事です。

すでにガバナーとして死に態となっているシリアのアサドに変わる統治機構として、どのセクトのどの人物が最もふさわしいかを協議する目的も在ったようです。これら一連の根回しの為に新国防長官となったジョン・ケリー氏を派遣していた事も忘れてはならないでしょう。

ニューヨーク・タイムズではこれら一連のオバマ大統領の行動を高く評価しながらも、中東全体の和平の実現にはまだまだ遠い道のりがあるだろうと結んでいます。                         03/24/2013   sonegoro


  ーNHKBS  Wisdom(03/23/2013)放映ー「アルジェリア人質事件」世界は新たなテロに対してどう立ち上がるのか」 投稿文 曽根悟朗
この事は1917年のバルフォア宣言から1947年の国連総会でパレスティナの分割が決められるまでの経緯を踏まえ、1948年5月14日イスラエルの建国がなされるまでの事をすべて把握した上で考えて行くべき問題であろう。当初アラブ側に割譲された所には元はパレスティナ人が約75万人、ユダヤ人は1万人程度だった。一方ユダヤ人に割譲された地域はユダヤ人が約50万人、アラブ人が約43万人で、その面積はアラブ側が94%・ユダヤ側は6%程度であった。それが分割された後、ユダヤ人地域が60%近くにまで拡大されて行ったのである。イスラエル軍の戦車を伴った軍隊が、日々アラブ人たちの村を急襲し、即座に、着の身着のままで追い出し、アラブ人達はその日以来2度と戻る事は出来なかった。この様な無慈悲な行動に対し、ムスリム(アラブ人達は殆んどがイスラム教徒だった)の人達は抵抗すべき手段を何も持たなかった。出来た事は石の礫で戦車に投石する事位でしかなかった。これはインティファーダと云われたが、ムスリムの人々の怒りのウネリの原点はここにある。ある日突然にこの様な目に我々が会ったとしたら、どの様に感じるだろうか。先祖代々受け継いできた家や田畑を、一瞬にして暴力を持って取り上げられてしまったのである。住いも何もかも無くし、荒地でのテント暮らしをしいられた。この時の怒りが、まずは反ユダヤとなり、そしてイスラエルを応援するアメリカや西欧各国へと広がっていった。第一次から第三次に至る中東戦争はパレスティナの地には何の変化も齎さず、ヨルダン川西岸地区とガザ地区に分割されてしまったパレスティナは、国家として今漸く国連で認められようとしているに過ぎない。何処へも持って行きようのない煮えたぎる怒りが反イスラエル・反米へと向かっていったのは当然の成り行きだった。欧米を始めとした国々は何の手も貸そうとしなかったのである。「侵略者には武器を持って戦え・・これは聖戦(ジハード)である」とクルアーンは教える。ムスリム人の怒りは沸々と湧き上り、戦いの炎がムスリム社会全体に燃え広がり、中東からイスラーム社会全体へと組織の環が広がっていった。しかしその群雄割拠する見えざる組織は、余りにもお粗末な武器しか持つことは出来ない。西欧各国の強力な武器と軍事力に対抗出来るようなものを持てる筈がない。ベトナムの様なゲリラ戦略を行使するような地形的背景も全くない。身をかくすような処は何処にもない砂漠やゴビが広がるだけの地域が殆どなのである。ビン・ラディンが取った戦略の様に、山に穴を掘り、通路を設け、少人数で行動し、訓練し、最後は捨て身の攻撃しかない。アフガンとパキスタン国境の治外法権地区トライバルエリア、あるいはイラン・イラク北部のアゼルバイジャンやアルメニアの国境地帯、トルクメニスタンやタジキスタンの山岳地帯、支援者の多いジャンム・カシミール等で互いに衛星通信を使いながら情報の交換をし、戦略を立てて行く方法しかないのである。マリとアルジェリアの国境地帯も広大なサハラに行く手を阻まれる格好の拠点でもあった。彼らの攻撃パターンはヒットアンドアウエイではない。ヒットアンドデスである。これがテロと言われる所以であろうが余りにも強大な敵に対して取れる戦略はこれしかないのである。スイサイドアタック・・これしかないのである。そしてこれをより後押しするのがイスラームの教義・ジハードと死後の栄誉(ムスリム同胞の為に命を捧げる事によって得られる誉)・なのである。
それぞれの組織はハザラと呼ばれる資金供給システムによって賄われていた。イスラーム圏の中ではこのハザラが資金の流れを支える。潤沢な産油国の地下資金が、必要とする処へ必要なだけ、タイムリーに供給されて来た。しかし今やすやすと国境を越え、次々と連携しながら流れていたその動脈があちこちで寸断されて来た。世界中に広がる反抗組織がその資金供給の根を断たれ、自立して賄わなければならなくなってきた。それが今回の様なアルジェリアの事件を生んだ元なのであると考える。この様な事はこれからも頻繁に起こるだろう。イスラームを理解し、国際的な共鳴の意思として、パレスティナやシリアの解決をより速く促していくような世論が世界中に共有されて行かない限りこれは止むことはない。「ムスリム社会は我々とは違う」とたかを括っている限り、平和共存の道は遠い。武力や金で解決しようとしても決して彼らには通じない。必要なのは常日頃からの理解とダイアローグである。ビジネスでムスリム社会に溶け込もうとするのは最低の事と理解しなければならない。日揮の事件で、彼らが日本人にシーツを被せムスリムを装って庇ってくれたように、日頃の人間関係が成り立つ事こそ最も大切な事なのである。ムスリムの人達は本来日本人を敬愛している。東洋のあんなちっちゃな国が世界に戦いを挑んだとして評価してくれている人もいる。しかしその後必ず「原爆まで落とされながら何故今日本はアメリカの属国なのだ」と付け足される。叉、日本を“エコノミックアニマル”と世界で最低の評価を下したのも彼らである。ムスリム人の本音は、「誰とも親しく、広い知識と教養を持ち、家族を大切にし、日々気高く生きる」。これが彼らの原点なのである。金とか名誉とかと云った人間が作った付加価値は彼らは全く評価しない。心の平安を求める事を至上の事として1日5回のアザーンを欠かさないのが彼らの本質であることを日本人は理解しなければならない。

新時代の幕開け

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虎穴に入らずんば、虎子を得ず」と後漢書にある。相手の懐に飛び込んで、自ずから活路を見出し、互いの融和を招く。この事をもたらすには、優れた知能と未来への戦略と共に、最も必要なのが腰の据(す)わった勇者である。残念ながら今の日本の政治家の中には、これに値する者は誰もいない。寄り集まって仲間と騒ぎ立て、遠吠えするだけの輩(やから)。安倍・石破・高村の愚者集団に吸引され、与野党のすべてが同じ土俵の中で騒ぎたてるだけ。見苦しさはこの上ない。まるで子供のケンカと同じていたらく。誰が中国や韓国、北朝鮮へ直接乗り込んで虎子を得ようとしただろうか?中国の指導者達も南北朝鮮の人々も後漢書の言葉は熟知している筈。中国共産党とは真の人間の心に根ざしたものではなく、まして北朝鮮の独裁は許されるものではない。国を支配するものが誰であれ、どんなイデオロギーであれ、そこに住む人々はすべて同じ価値観を持った市民。日本人を含め、極東の国々は、本来は論語や儒教を心の支えとして社会的理念を育んできた国でもある。集団的自衛権は彼らの心をより頑(かたく)なにさせるだけ。私の父や叔父達は靖国で眠っているが、安倍のような輩(やから)に決して来ては欲しくはないだろう。大戦で亡くなった人たちが最も望んでいることは、「仲良くする事、それが我々の失われた命への最大の献花だ」と。

  6/13/2014  曽根悟朗

 

最近は安倍も石破も、はたまた高村副総裁まで、「何とか公明党に理解してもらいたい」とばかり、必死の形相である。公明党さえ理解をすれば後はこっちもの、国民等どうでもいい、といったていたらく。馬鹿につけるクスリはないというが、まさにそのとおりの有様だ。国民への配慮などは微塵もない。忘れちゃあ困るよ安倍のダンナ、石破の岡持ち、高村の太鼓持ち。集団的自衛権を最終的に判断するのは国民だよ。君たちの勝手はもう許さない。選ばれた政治家に何でも決定する権利があるというのはもっての外。火事場の空き巣狙いじゃあるまいし。YESかNOかは国民投票で決めさせてもらいますよ、安倍のダンナ。“首を洗っておとといきやがれ”とは江戸っ子の心意気。“覚悟あそばせ”と冷笑を浴びせるのは神楽坂の大姐御。!!    

   06/01/2014 曽根悟朗 
 
 石破の「集団的自衛権は抑止力」という愚劣な政治感覚に踊らされる日本。ロシア・中国・イラン、それに付随した北朝鮮、シリア等の結束を硬化させ、世界の緊張は更に高まるだけです。軍事行動を憲法において否定されている日本だけが、上海宣言参加国と欧米各国を、対話と協調への場へと導くことが出来る唯一の国なのです。拒否権がある故に国際協調への行動能力を失っている国連。憲法9条による軍事行動の全否定と、集団的自衛権を持たない日本だけが、この役割を果たすことが出来ます。安倍、石破の知能の低さと想像力の欠如が今日本を誤った道へと導こうとしています。ウクライナやシリアに於ける解決不能と思われる諸問題に対し、対話の道を構築し、新たな世界秩序へと門戸を開き得るのも、公平な理念に基づいた仲裁裁定を積極的に行う事が出来るのも、現状では日本だけなのです。「目を覚ませ・地を這うことしか知らない政治家諸君!!      05/25/2014  曽根悟朗